ゴジラ(初代)


連綿と綴られる日本の怪獣映画の祖とも言うべき存在!『ゴジラ』!
私の原点と言うべき存在の一つであり、最も愛すべき『Monster』の一つ。

記念すべき1954年の第一作目から数えること28作品。国外版を含めれば実に33作品。如何にこの巨大怪獣に、文明社会を破壊されることを、望む者が多かったことか。
33の作品には33のゴジラが存在すると言っても過言ではない。
その時々のテーマや、ターゲットとする観客の層、時代、シリーズによって、ゴジラはその存在と姿を、悲哀を帯びた者や愛すべき子供の味方などに変えて登場している。

中でも私が最も好きなのは、やはり一作目のファーストゴジラ
人間に死を招く核兵器の象徴としての存在でもあった、いわば『恐怖の象徴』。その姿には、後の昭和シリーズに出てくるゴジラの持つ愛嬌や英雄然としたものは全く存在せず、自分の役目を果たすかの様に、只ひたすらに街を、人間を、文明を壊していく『破壊の王』。
やはりMonsterは人の敵であり、太刀打ち出来ないものであり、相容れないものでなければ。

造形的にも、非常に面白い。
我々が小学生の頃に、学会で考えたれていた様な肉食恐竜の直立の仕方であり、人が中に入るのに適した形。
これ以後のウルトラマンシリーズなどの特撮における怪獣の原型ともなっているわけだが、この結果、人間と最も異なるものでありながら、その形から想像される骨格や肉体の動きなど、非常に人間に近い、人間くさいものになっている。此処に生じる違和感と親近感が混ざったものが、怪獣というものの存在を、魅力を、更に際だたせるのだろう。

ファーストの造形において、私がもう一つ好きなのは、耳。
一作目の『ゴジラ』からこっち、現代に至るまで無数の怪獣が生み出されてきたが、このような耳を持った怪獣は数少ないのではないだろうか?
省略されるわけでもなく、デフォルメされデザインとして強調されたものになるわけでもなく、ただ耳として存在するためにそこに在る。
こういった生物としての造形のこだわりが、ファーストに命を吹き込み、見る者に想像ではない『恐怖』を感じさせたのでは無かろうか。
この無骨な何の変哲もない、だが存在感のある耳が、私はとても愛おしいのだ。

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